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世界について

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世界について

 あゆめ! 世界は『帝国』を舞台にしています。
 世界の歴史でいくと、中世前期ヨーロッパ風ですが、同じ歴史は辿っていないので、違う文化の育ち方をしているところが多くあります。

1.
 舞台の『帝国』は、とても大きな国です。住んでいる人は、世界の重要なもの全てが帝国の中に収まっている、と考えています。むしろ、その外側を気にしていません。

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2.
 『帝国』は9つの地区に別れています。
 皇帝陛下のおわす『帝都とその周辺』
 皇帝直轄地で、代理人が治めている『南部』
 各諸侯の治める、『東部』、『北東』、『北部』、『北西』、『西部』、『南西』、『南東』。○○領(例:南東領)と呼びます。各諸侯のことは○○侯(例:北西侯)と呼びます。

 このサイトの主な舞台は『帝都』と『南東領』です。
 帝都とその周辺は、陛下がおわすだけあって、最大の発展を遂げています。
 南東領は、今勢力が強いです。第一皇女殿下が降嫁され、暫定皇位継承権第一位となる公子がお生まれになったためです。

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3.
 『帝国』を治めているのは、カッツ皇家です。
 現在の皇帝は第22代ヘルムート・ローベディック・カッツ陛下です。14歳の時から皇位についている賢帝です。大変厳しい方で、畏れられ、敬われています。
 皇家らしく、身の丈が高く体つきも立派で(cm/kg換算で195/85くらい)、黒髪に真っ黒い目をしています。おそば近くにあがる者でも、顔をまじまじと見ることは許されませんので、それくらいしかわかりません。遠目に見ると、黒い山脈か、巨大な鉄鉱石のようです。

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4.
 民主主義はまだ考え出されていません。封建社会です。
 広大な土地を所有する皇帝に対し、人民は服従依存しています。簡単にいうと、皇帝が頂点で、それ以下は全て皇帝につかえている、ということです。例外はありません。

 それにより、厳格な身分枠があります。ピラミッド型位階制度です。
 皇帝は別枠として、上流、中流、庶民があります。各身分の間には、広くて深いみぞがあります。

身分ピラミッド図

 皇子・皇女・公爵・侯爵(皇族+7名)
 他貴族(侯爵の下にいるので○○領伯爵、となる)
 ここまでが上流全人口の1%もいない身分区画です。
 別枠で聖職者の教皇・枢機卿などはこの身分に分類されます。

 騎士・官僚・魔具使い
 ここまでが中流です。
 姓を持ち、国から俸禄を受け取ることができます。人口の10%未満。
 別枠で聖職者の司教・修練生などがこの身分に分類されます。

 庶民
 全人口の80%以上が彼らです。農民・商人・職人・請負人いろいろ含みます。
 その中でも農民が大多数を占めます。帝都などの街には商人や職人が多くいます。(帝都市街内に畑はなく、農民もいません)

 身分ごとに、家・服装・歩き方お辞儀の仕方からしゃべり方まで皆違います。下の身分の者は、上の身分の者を敬わなければなりません。子供は親の職業を継ぐのが普通であり、めったなことがない限り、身分ピラミッドのみぞを飛び越えることはできません。

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5.
 しかし、みぞを飛び越える方法は、ないわけではありません。
 たったひとつですが
【勉強・訓練・能力開発して<学術院>に入る】
 という手段があります。1年に約90人しか入れない狭き門です。
 学術院は、国によって運営される若者養成機関で、16歳になると受験でき、19歳まで挑戦できます。
 騎士課程・魔具使い課程・官吏課程があり、課程によってそれぞれ学習期間が違いますが、ここを無事卒業し叙勲を受けて一人前とされると、庶民にも姓が与えられ、1代限りですが中流として扱われます。
 狭き門の上、内容は厳しく、脱落者が後を絶ちません。入学した人の半分が卒業できればよいほうです。しかも最近は、どうしても自分の姓をつがせたい騎士や魔具使い、官吏の親が、我先にと息子娘を英才教育して送り込んできますので、庶民の出る幕は殆どないのが現状です。

 このサイトの中心人物であるレノ・レオ卿は、代々騎士である『世襲騎士<騎士団について>を参照)の家柄に生まれながら、厳しい家訓によって学術院へ入学し卒業しています。そんな(迷惑な)人もいるので、ますます狭き門になっているのです。

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6.
 宗教は、帝国に置いてはひとつだけです。
 教会、と呼ばれる宗教組織が、帝国全土に広がっています。
 生きる奇跡、何代も転生を繰り返す教皇猊下のもと、慈悲を説いています。人々の生活に深く根ざし、人生の節目には必ず必要です。
 お参りするときには、綺麗な絹の報謝布を捧げます。絹は大層高価ですので、庶民の場合、何人かでお金を出し合って小さい布を用意します。色とりどりでとても綺麗です。
 お祈りの仕方もあるのですが、ここでは割愛。

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7.
 男女区別の例。
 男と女は違うものと見なされています。
 向き不向きの関係で、男にしかできない職業があります。
 騎士・聖職者・文官(官僚)の3業種は、男のみが就くことができます。
 それ以外は全て、男女とも同じように扱われます。

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8.
 恋愛・結婚について。

 恋愛は身分枠の中であれば(←重要)自由です。
 身分違いだった場合、上流と中流の差であれば乗り越えられないこともありませんが、上流と庶民・中流と庶民の場合は、99.9%の確率で悲しい結末に終わります。(上流と庶民などはまず顔を合わせる機会がありません)
 また、相手の性別を気にする人は殆どいません。
 たとえば、男女問わず【相手が女性しか駄目なんだー】という場合、現代日本における、【45歳から上にしかときめかないんだー】とか【めがねっこじゃないと好きになれないんだー】とか、そういうニュアンスになります。
 ただし、女性しか子供は産めません。

 結婚した、と認められるためには、司祭以上の聖職者の立ち会いの元、証明書を二人で提出する必要があります。儀式はたいてい教会で行われます。証明書が教会に保管される手続きがとられて始めて、二人は結婚した、ということになります。戸籍制度はまだ、整備されていません。
 子供が産まれた場合、出生証明をもらいます。その届け出には必ず産んだ女性とその父親の名前が必要です。養育はたいてい両親が行います。できない場合はその限りではありません。
 重婚はあまりよしとされませんが、例外として、騎士の朋(ホウ)、室(シツ)というものがあります。騎士は二人以上結婚相手を持つことが可能です。(詳しくは<騎士の結婚>を参照)
 また、貴族も複数結婚相手をとる場合がありますが、最近はあまり好まれません。相続が面倒になるからです。

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9.
 余暇について
 庶民に余暇はありません。一仕事終えておうちで一杯、ちょっと奮発してお店で一杯、くらいが楽しみです。みんなで集まってする、歌や踊りが一番の楽しみでしょう。
 中流以上になると、狩りや蒐集、カードゲーム(簡単なもの)などをすることもあります。上流階級のおぼっちゃまお姫様の楽しみは、音楽を聴いたりお散歩したりという優雅なものです。

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10.
 食べ物・飲み物について
 これにも身分差が歴然とあります。基本的に、上の身分の者は下の身分の飲食物を口にしません

 庶民は、雑穀でつくった固いパンが主食です。メインディッシュというものはなく、肉の浮いたスープがあれば御の字です。味は殆ど素材のままです。塩か酢を使えます。
 漉されていないどろどろの酒『エール』は栄養価もたっぷりで、大人になればすぐ飲み始めます。人々は土地に根ざしていますから、やっぱり酒もパンも地元産が一番。ただし帝都では、さまざまな土地の飲み物を出す酒場もできてきたようです。ワインでも安いものは流通しています。
 南部から入ってきたトウモロコシ、東部高地の蕎麦、西部のトマト、油の多い魚(傷みやすい)、イカタコなどは庶民の食べ物です。

 中流階級になると、食事の支度は使用人(従者)の仕事になります。スープに何皿かおかずが出るようになります。ソースが掛かっていたり、味つけも気を使うようになります。スパイスも使いますし、また油を使えます。騎士の場合、体力維持のために生肉を食べることもあります。中流でも上位身分である場合、上流階級に近い食生活をします。。
 この身分になると、良いワインにこだわりのある場合が増えます。やはり地元産が好まれます。また、蒸留酒を加えて甘みを強くしたものも出されます。エールは飲まれません。

 上流階級の場合、食卓は絵画さながら。趣向を凝らした食事がでます。さまざまな種類があるのでここでは割愛します。高価な蜂蜜やナッツ類、クリームその他、食材も贅沢です。
 皇子様お姫様の場合、ジャガイモ・トウモロコシ・蕎麦・トマト・枝豆・鯖・イカ・タコなどは見たことも食べたこともありません(出されても下の身分の食べ物と認識しているので、食べません)。それどころか、たいていの食材の調理前の姿を知ることはないでしょう。
 飲み物といえばワインですが、自分の領地の畑、その中のどこどこの区画のワイン等等、決まったものしかのまなかったり、えらく手の込んだ飲み方をしたりします。(そういうことを好まない貴族の方もいます)

 お菓子は、お祭り以外中流以上の食べ物ですが、ハレの日(お祭りや結婚式など)には庶民も口にします。甘いものは高価です。上流階級でも上の方だと、かき氷を食べられることも……。魔具使いの友達がいれば、氷の魔法でなんとかしてもらえるかもしれません。(魔具使いは全人口の0.2%)

 以上、あゆめ! 世界の簡易知識です。思いついたときに、また項目を増やそうと思っておりますが、知らなくても読めるお話を用意してありますので、参考ですとか、より深く楽しむためにお使いください。

 

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〜騎士誓訓〜

騎士は、主、皇帝陛下に従うことが最高にして最低限のありかたである。

騎士として叙勲を受けたからには、主の御為に命を捧げ、死も厭わず戦い守るものである。

騎士たるもの、主の剣である。礼を失した敵に掛ける情けはない。

騎士たるもの、主の盾である。敵は、騎士の骸を踏むこと無しに、主の元へは辿り着けぬ。

騎士たるもの、主の足である。どこへなりとも赴く。

騎士たるもの、主の誇りである。騎士なくして、主の尊厳は保たれぬ。

騎士は背かない。おそれない。疑わない。

誓いの破られたときは、死を持って騎士の誇りを汚さぬものとする。

騎士について

 騎士は、そう名乗るには厳しい関門を突破しなければならない、非常に名誉ある階級です。兵士とは違います。
 そもそも、帝国ができる以前、世の中が安定していなかった頃にできた階級です。
王の側近として、若く強い男子を置いておくために、能力のあるものを登用したのが始まりで、制度化されたのは、帝国が起こる前の時代だということです。
 そのため、騎士は必ず男性です。女性は騎士になることはできません。男子であっても、なりたいからといってなれるものではありません。(兵士は徴兵制です)

 騎士は皇帝ただ一人に仕えます。
 中世ヨーロッパの騎士道と違うところは、神に対する忠誠・婦人に対する忠誠がないところです。絶対の忠誠を誓うのは唯一、皇帝陛下です。

 皇帝を守ることが第一義ですから、強さがまず求められます。弱い騎士はいません。職業軍人として訓練を積んでいますので、庶民出身で剣を使う程度ではとうていかないません。騎士はとても体格がよいのも特徴です。貴族や庶民と比べ、皆頭一つ背が高く、体つきも立派です。成人男性の平均身長がcm換算で170cmくらいなのですが、騎士だけを取ってみれば、平均で182cmほどもあります。お話の中で自ら小柄だ、と言うアロイス・ゼーゼマン卿ですら、180cmはあるのです。
 また、その性格にも高潔さが求められます。おそれおおくも皇帝陛下にお仕えし、そのお命を守る名誉職です。尊敬される立場であるため、ただれた性格のものは叙勲にまで至りません。目に余る行動をしたものは、処分されます。
 礼儀作法への造詣も深くなければなりません。
 皇帝の居城内で剣を帯びることを許されているのは騎士のみです。おごらず、みだりに剣を抜かない鉄の自制心も要求されます。
 見た目や身のこなしが洗練されていれば、より尊ばれます。世襲騎士に美形が多いのはそのせいでもあります。

 このサイトでは騎士が多く出てきますので、これから書くことをご存じだとより楽しめると思います。参考程度にごらんくださいませ。

 

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騎士団について

 騎士団は全部で3+11で、14あります。
 3つは世襲騎士団、残りは師団と呼ばれる世襲以外の騎士をまとめた騎士団です。

 世襲騎士団には、代々騎士を名乗ることを許された者だけが所属しています。特にめざましい功績のあった騎士が、騎士団を作ることを許されてできあがりました。今はもう新しい世襲騎士団をつくることはなくなっています。

 世襲騎士団の中でもっとも歴史のあるのが、このサイトでも良く出てくる
『カシナート騎士団』
です。
 騎士1000人を抱え、全体では5000人規模。最大の騎士団です。本隊の他に、分隊をいくつか持ち、皇帝のおそば近くでお仕えする近衛分隊もあります。
 当主であるカシナート家は、帝国の初代皇帝ロッケンヘルム・カッツに仕えた騎士の家系で、つねに皇家と共にあります。南部の領主であったカッツ家が帝都に入ったため、皇帝の代理人として南部を治める権限も与えられています。
 騎士身分=中流ではありますが、上流階級の伯爵家相当として扱われる、特別な位置づけです。
 第25代目カシナート家当主は、アウグスト・カシナートです。長身に手足の長い体つきで年齢よりも若々しく見え、性質は大胆です。ゆるがぬ忠誠心と素晴らしい剣の腕を誇ります。
 その息子ヨハイム・カシナートは当代随一の美形と詠われ、10歳で騎士叙勲を受けた天才少年です。
 カシナート家の紋章は「若木」の紋です。アウグストの個人紋はそこに朝陽をあしらったものです。なので、「若木の君」「朝陽の君」といえば、アウグストのことです。

 カシナート騎士団に所属するのは世襲騎士のみですので、このサイトに出てくる、カシナート騎士団所属レノ・レオもアロイス・ゼーゼマンも、代々騎士の家系ということになります。

『ゾンネンバウム騎士団』『リンツ騎士団』
 この二つも世襲騎士団ですが、わりに新しく、規模もカシナートに比べてちいさなものです。


 11騎士団は、世襲騎士でないものが入る騎士団で、騎士定員130名前後です。それぞれの月の名前でよばれます。
 帝都の宮城周辺警備は騎士団の仕事で、11騎士団が持ち回りで行っています。


 騎士団としての格はカシナートを筆頭に世襲騎士団の方が高くなっていますが、むしろカシナートが別格だと見るべきでしょう。
 カシナートの騎士は、敬愛とちいさな揶揄を込めて『カシナート製』と呼ばれることもあります。

 

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騎士の衣装

 騎士は騎士服を着ます。
 軍装・正装・私服、があり、全て形式が決められています。

騎士服は厚手の生地で作られ、型が決まっています。
所属ごとに(どこにも所属していない騎士はいません)、騎士服の色や胸に描かれる所属紋が違います。
胸側には、上に所属紋、その下に自分の紋章を刻みます。
背中側に紋章を刻むことができるのは、胸側に皇家紋を許された、カシナート家の騎士のみです。


軍装

 騎士の完全装備になります。
 完全な戦闘態勢です。戦の時以外でこの格好をすることはありません。

頭:
 布製の保護頭巾をかぶり、その上から首まである鎖帷子の頭巾、頭頂部と鼻梁を守る兜をかぶります。
胴体:
 騎士服の下に鎖帷子を着ます。その下には厚い鎧下を身につけます。
 首回りを保護する金属環を上からはめます。
 鎖帷子は肩や腰の部分で余裕をとってあり、動きやすくなっています。丈は膝上まであります。
 鉄板を組み合わせた手っ甲もつけます。かなりの重装備です。
 もちろん剣を帯びていますが、得意武器のあるものは、剣を置きそちらを持つこともあります。
脚:
 膝までの長軍靴か鉄製の長靴です。臑のところに補強の鉄板付き。靴の踵には拍車がついています。
その他:
 くるぶしまであるケープを身にまといます。ケープには、肩に当たる部分に所属部隊の紋章が入ります。着方は隊によってさまざまですが、肩の一方を金具で留め、体の片側を覆うようにするのが一般的です。馬にまたがりやすいよう、切れ込みが入っています。

正装

 騎士の礼装です。通常、仕事中の騎士はこの姿です。

頭:
 なにもかぶりません。
胴体:
 ブラウスに、鎖帷子(薄手で軽量、袖の無いもの)、騎士服の順で着ていきます。帷子・騎士服は膝上までの長さがあります。
 騎士服には袖がないので、ブラウスがそのまま見えます。
 肘まである厚い革手袋をする場合もありますが、それは警備の任についているものくらいです。たいていは袖の膨らみを抑える手っ甲をはめる程度です。
 剣を常に帯びています。槍や斧が得意な者でも、大きなそれらの武器を持ち歩くわけには行きませんので短剣や細身の剣を帯びます。
脚:
 膝までの長軍靴ですが、鉄板で補強はしてありません。拍車は歯の部分をとってあります。
その他:
 ケープ(軍装と同じもの)を体の片側を覆うようにまといますが、室内では省略することが多いです。


私服

 任務以外の時に騎士の着る服です。庶民と同じ服装はしません。

頭:
 顔を隠したいのであれば仮面を付けたり、フードを被ったりします。
胴体:
 ブラウスの上から私服の騎士服を着ます。騎士服には自身の紋章しか入りません。色はさまざま、選ぶことができます。紋章には色がありますので、それにあわせた色を選ぶのが普通です。
 剣は常に帯びています。槍や斧が得意な者でもそれは持ち歩きません。
脚:
 歩きやすいブーツをはきます。軍靴ほど厚みはありません。
その他:
  肩から美しいドレープのケープを掛け、腕に巻き付けるようにして、肩の片側から腰辺りまで裾を垂らします。腰の剣に手を掛けるのを抑制するためだと言われています。
 

騎士は騎士の格好をするので、一目で騎士だとわかります。

 

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騎士の結婚

騎士の結婚は、他の場合と少し違います。

 騎士の朋(ホウ)、と言われると男性を指し、室(シツ)というと女性を指します。2人以上結婚相手がいる場合があるのです。(もちろん、室しか持たない、もしくは朋しかもたない騎士もいます)
 二人以上持つのは、特に世襲の騎士の場合が多いです。
 騎士は超男性社会なので、人生で出会う9割の人間が男になります。女性に会っても、身分が上の場合ばかりです。しかも名誉ある職業軍人で、常に死と隣り合わせ、もちろん死を怖がったりいやがったりすることは許されません。
 はじまりは、騎士が確実に故郷へ遺体を持ち帰ってもらうため、と言われているのですが、騎士同士、相棒や盟友、半身(恋人)として婚姻関係を結ぶのです。

 通常の結婚と同じように、司祭以上の聖職者に立ち会ってもらい、互いの剣を持ち寄って鞘を交換します。そしてその旨を証明書に残します。それで婚姻成立です。儀式自体はあたらしいもののようですが、見栄えが良く、剣の鞘という大切なものを交換することによる厳粛さが好まれて、今では大部分がこの儀式を行うようになっています。鞘には自分の紋章が刻まれていますから、鞘を変えると相手の紋を帯びることとなり、結婚したのがすぐにわかりますしね。

 そうして互いに朋同士となり、互いの背中を守るようになるのです。
 性交渉のある場合もあるようですが、ない場合もあるそうです。どちらが多いのかは、調べた例がないのでよくわかっていません。

 世襲騎士の場合、必ず血のつながった者でないと騎士位を引き継ぐことはできませんから、室(シツ)は子供を産んでもらう結婚相手と言うことになります。そういうと打算的に聞こえますが、もちろんその目的ばかりで結婚するのではありません。

 騎士の朋と室が喧嘩したりもめたという話を聞かないのは、制度として確立していると言うことと、棲み分けができているということに尽きるでしょう。

 

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騎士の生活(1)

 騎士の1日で、任務と訓練の次にに時間をとっているのが、入浴です。
 中流階級以上の入る風呂は、蒸し風呂。湯船につかる習慣はありません。 家はもちろんのこと、学術院や騎士詰め所、帝都城内など、騎士の集まるところにはどこでも風呂が設置されています。(庶民からは考えられないほど贅沢な仕様です)

 湯気サウナに広い洗い場が併設されている蒸し風呂に、何人か2〜3時間ほど入るのが普通です。
 風呂にはいるときには、軽い麻の浴衣を着ます。前合わせのゆったりした着物で、立っていれば裾がくるぶしあたりまで着ます。
 湯気が充満するサウナで、十分体を蒸し上げた後、汗や汚れを洗い場で落とします。 体を洗うときには、汗くささや金属臭を落とすため、香草の入った湯や香りをつけた石鹸を使います。
 騎士には一人当たり最低4人の従者(従騎士2・世話係1・馬番1)がついているのですが、そのうちの誰か(たいてい従騎士です・馬番はよっぽどでないかぎりありません)に洗わせます。もしくは、たいてい同僚同士で入りますので、お互いに体を洗います。 騎士同士のコミュニケーションの場、と言えるでしょう。仕事中には、用のない限り口をききませんから。

 湯気サウナ内での喧嘩・決闘等、血が流れるような行為は固く禁じられています。
 もちろん、掃除が面倒だからです。
 やるなら洗い流せる洗い場でどうぞ。 (見つかれば処罰されます)

 出た後は、しばらく冷まし、香油や天花粉(タルカムパウダー)で肌を整えます。仕事場で入った場合、また鎧と騎士服を着てしまうので、元の木阿弥……? 

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じょじょに増えていきます。

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